「帰ってきたヒトラー」(映画)

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ある日突然、1945年から21世紀にタイムスリップしたヒトラーが現れるというお話で、
現代に戸惑うヒトラーで、その様子をみた失業してしまったTV関係の男がそのヒトラーをつかって復帰しようと企むのですが、
街頭でもTVでもそっくりさんとして人気が出ますが、ヒトラーは本人そのままにドイツへの思いも熱く、改革を目指します。
面白いところに目を付けたお話だと思いました。
息子のDVDで、見せてもらったのですが、コメディということでしたが、コメディに思えませんでした。私には笑えるシーンはありませんでした。
着ている軍服の臭いがひどいと言われ、クリーニング店に行き、下着までその場で脱いで預けようとしますが、それも笑えませんでした。
え、お金を持っていた? ま、総統でも持っていたかも。総統は自分で下着はせんたくしない? などと真面目に思って観てしまいました。

2012年に発表した風刺小説で、ドイツではベストセラーになり 、映画化されたそうですが、まさに< 風刺>で、
ドイツの問題が出てきます。移民の問題や就職難や諸々で、けっこう真面目に真剣です。

で、それに向き合うヒトラーで、個人個人にも向き合います。するどい指摘と思考で、政治家としての資質が高い、そして魅力的なヒトラーです。賛同する人も出てきますし、何よりすごい人気が出ます。

ヒトラーも聴衆の人気が高く、演説は人々を魅了したようですが、納得の劇中のヒトラーです。
絵が上手いヒトラーも描かれていました。ヒトラーが描いたミッキー・マウスの写真を見たことがありますが、イメージとかけ離れていましたし、こんな絵を描く人だったんだと驚きました。 が、劇中ではそんなヒトラーも自然でした。

と、思った私ですが、私だけではなかったようで、小説が出て、
ヒトラーに対する数々の肯定的な描写で物議を醸したそうですが、作家のヴェルメシュは、ヒトラーを単純に悪魔化するだけではその危険性を十分に指摘できないとし、リアルなヒトラー像を表現するためにあえてその優れた面も描き出したと話したそうです。
なるほど~とも思います。

で、ヒトラーを演じた役者さんがヒトラーそっくりで、そのままヒトラーに重なってしまいます。

ヒトラー役を演じていたのは、オリバー・マスッチという舞台俳優だそうで、偽鼻や偽上唇などを付けるため、メイクアップに2時間かかったそうです。

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こんなに変わるんだ~!と思います。が、彼は顔だけではなく、ヒトラーの演説を暗唱し、彼が好んでいたリヒャルト・ワーグナーのオペラを鑑賞するなどの役作りをしたそうです。
で、ヒトラーの映像の中で最も参考になったのは演説の映像ではなく日常会話の映像だったそうで、「ソフトで包容力を持った父親のようなヒトラー」を意識して演じたそうです。 なるほど、確かにそんな感じのヒトラーでした。

で、劇中でヒトラーが市民と会話するシーンがあるのですが、これはヒトラーに扮したマスッチが実際にベルリンなどの街中に現れ市民と対話するアドリブ形式で撮影されていりそうで、撮影の際にはマスッチが襲われる可能性を想定しボディーガードが同伴したそうですが、
実際には忌避されるよりも好意的に接してくる市民の方が多く、撮影期間中にその場に居合わせた人たちから2万5,000回自分撮りによる写真撮影をされ、まるでポップスターだったそうです。監督は、ヒトラーへの忌避感が薄れていることに驚いたということです。
監督のヴネントはガーディアンのインタビューに、「極右復活の危険性が常に存在していることを強調した」と話したそうですが。

何かと<極右復活>というものにもっていくのもどうかと思いますが。。。

が、理想的な強い政治家を求める傾向はあるかなと思います。あくまでも<理想的な>です。がヒトラーのようにいつ豹変するかわからない危険もあり、難しいものにも思います。が。。。。

で、恐いのは、彼が本物のヒトラーだとわかった男が、精神病患者にされて、入院させられて身動きの出来ない状態にされたことです。
流れや盛り上がりで、正しい目を持てなくなった人々です。今も、いろいろなことである実際の状況のように思います。
マスコミにつくられたものに乗りやすいかなと思います。意図的にそれを使う人たちもいますし。。。そんな怖さがこの映画にもありました。

なので、コメディには思えないですし、笑えないですし、面白かったとも思わないです。
が、面白いことを考えて、面白いことをやったなと思います。

息子は小説でも読んでいて、「本は面白いんだけど。。。」と言っていました。本で読んでみたいと思いました。
面白い映画だと思わなかったのに、そんな風に思わせる映画でしたし、小説は面白いというので期待感もあります。

で、最後に、長く感じた116分でした。


2015年製作/116分/G/ドイツ
原題:Er ist wieder da
配給:ギャガ
上映時間116分

監督ダーヴィト・ヴネント
脚本ダーヴィト・ヴネント、ミッツィ・マイヤー
原作ティムール・ヴェルメシュ
製作ラース・ディトリッヒ、クリストフ・ムーラー

キャスト
アドルフ・ヒトラー - オリヴァー・マスッチ
ファビアン・ザヴァツキ - ファビアン・ブッシュ
カッチャ・ベリーニ - カッチャ・リーマン
クリストフ・ゼンゼンブリンク - クリストフ・マリア・ヘルプスト
フランツィスカ・クレマイヤー - フランツィスカ・ウルフ
ミヒャエル・ヴィツィヒマン[注 1] - ミヒャエル・ケスラー
リコ・マンチェロ - ミヒャエル・オストロウスキ
ザヴァツキの母 - ロマナ・クンツェ=リブノウ
キオスクの主人 - ラース・ルドルフ
クレマイヤーの祖母 - グドルーン・リッター
ゲッヒリヒター - ステファン・グロスマン
テレビ局社長 - トーマス・ティーメ
ゲアハルト・レムリッヒ - クリストフ・ツェマー
ウルフ・ビルネ[注 2] - マクシミリアン・ストレシク
ウーテ・カスラー - ニナ・プロー
本人役 - クラース・ハウファー=ウムラウフ
本人役 - ヨーコ・ヴィンターシャイト
本人役 - ダニエル・アミナチ
本人役 - イェルク・タデウツ
本人役 - ロベルト・ブランコ
本人役 - ミヒャエラ・シェーファー
本人役 - ダギ・ビー
本人役 - フレシュタージ
本人役 - ロベルト・ホフマン
本人役 - ヨイス・イルク
本人役 - フランク・プラスベルク

内容(「Oricon」データベースより)
復帰の足がかりにテレビ出演させられた男は、長い沈黙の後、とんでもない演説を繰り出し、視聴者のドギモを抜く。自信に満ちた演説は、かつてのヒトラーを模した完成度の高い芸と認識され、過激な毒演は、ユーモラスで真理をついていると話題になり、大衆の心を掴み始める。しかし、皆気づいていなかった。彼がタイムスリップしてきた<ホンモノ>で、70年前と全く変わっていないことを…。

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